チベット仏教と砂マンダラ

■チベット仏教

砂マンダラ

チベット仏教(チベットぶっきょう)は、チベットを中心に発展した仏教の一派。チベット仏教は、根本説一切有部律の厳格な戒律に基づく出家制度から、大乗顕教の諸哲学や、金剛乗の密教までをも広く包含する総合仏教であり、独自のチベット語訳の大蔵経を所依とする教義体系を持ちます。中国、日本、チベットなどに伝わる北伝仏教[1]のうち、漢訳経典に依拠する東アジア仏教と並んで、現存する大乗仏教の二大系統のひとつをなします。

教義としては、智慧と方便を重視する。インド後期密教の流れを汲む無上ヨーガ・タントラが実践されている。ニンマ派、カギュ派、サキャ派、ゲルク派の4宗派が存在しますが、いずれも顕教と密教の併修を柱とします。チベットでは、7世紀から14世紀にかけてインドから直接に仏教を取り入れました。そのため、インド仏教の伝統が途絶える寸前の時代に伝来した後期密教が保存されていることが特徴です。

ラマと呼ばれる高僧、特に化身ラマ[ を尊崇することから、かつては一般にラマ教(喇嘛教、Lamaism)と呼ばれ、ややもすると、仏教とは異質な宗教と見なす向きもありましたが、その実態が一般の認識を得るにつれ、ラマ教という呼称は不適切だとして、現在では使用されなくなっています。

チベット密教とは、「後期密教」を受け継いでチベットで発展していったものです。そしてその「インド後期密教」は、中期密教を基盤として発展しました。日本密教(真言宗)も同じくインド中期密教を基盤として、西域・中国においてそれを発展させて、日本で完成されたわけです。つまり、

インド中期密教 → インド後期密教 → チベット密教

インド中期密教 → 大唐密教 → 真言密教


■砂マンダラ

チベットの砂曼荼羅は宗教儀礼が芸術へ昇華した典型と言えるものです。極彩色の砂曼荼羅は、仏が住む宇宙を表す。その繊細な美しさは、ひと目見るだけで悪行を清め、世界の浄化を促すといわれるほどです。

そして描き上げられ祈りが終わると、すぐに壊されるのが砂曼荼羅。諸行無常の教えの象徴であると言われています。

すべての砂の一粒一粒は、僧たちによって祝福の祈りがささげられ、そして川に流されることで海に広がり、やがて世界にその祈りを広げることになるのです。

砂マンダラを描くさいの砂は、昔は宝石の粉を用いていましたが、今は岩石の粉にアクリル絵の具で色づけしたものを用いています。