今月の法話
■「如実知自心」【2024年11月の法話】
お大師さまの教えにある般若心経秘鍵の中に、「仏法遥かに非ず、心中にして即ち近し。」という言葉があります。この言葉は、私たちが求める真理や幸福は外にではなく、心の中に存在することを示しています。私たちは大切なものを外に探しがちですが、本当に必要なものは身近にあるのです。
最近、ある観光地でカップルのプロポーズに居合わせる機会がありました。無事に成功し、彼らが喜び合う姿を見て、私も幸せな気持ちになりました。このプロポーズの成功は、彼らの努力と思いが結実した結果でしょう。そして、私はその場で喜びを共有し、自分自身も幸せを感じました。良い出来事は広がり、他者にも幸福をもたらすものです。まさにこれが「ご縁」です。
良い人生を送るためには、良いご縁を大切にすることが重要です。人との縁、仕事の縁、さらには些細な縁を大切にすることで、人生は豊かになります。私たちの行動や思考は他者に影響を与え、結果として自分に返ってきます。例えば、誰かに優しく接することで、その優しさは感動を生み、関係が深まります。ポジティブな行動を意識することで、人生がより豊かになるのです。日々の小さな喜びや出会いに感謝することで、心が豊かになり、精神も成長します。
私は日常生活の中で小さな幸せを見つけるよう心がけています。例えば、朝日の光、友人との会話、自然の美しさなど、身近にあるものです。他人の幸せを自分の幸せのように感じ、日常のちょっとした出来事にも幸せを見出せるのは、心の中の仏様がほほえんでくださるからなのです。
人生は山あり谷あり、楽あり苦ありとよく言われます。嫌な経験をしたり、他人の幸を羨んだりすることもあるでしょう。しかし、苦しい時、しんどい時こそ、仏心を磨くチャンスです。嫌な経験をしたときは、その成長のきっかけに感謝し、他人の幸せを妬む時は、その人のさらなる幸福を願ってあげることが大切です。日々の感謝の気持ちや思いやりが心の仏を動かし、より良い結果につながるのです。
最後に、良いご縁を大切にし、日々の出会いや出来事に感謝し、毎日を豊かに彩りましょう。仏様が常に心の中にいらっしゃることを意識し、思いやりを持って生きましょう。皆さんの人生が幸せに満ちることを願っています。
(小西 崚弘)