今月の法話
■「小さな積み重ねが開く挑戦への道」【2026年1月の法話】
新年あけましておめでとうございます。
本年二〇二六年は午年でございます。午年生まれの私としては、「年男らしくしっかり走りなさい」と背中をそっと押されているような思いがいたします。馬が大地を踏みしめて進む姿は、勢いだけではなく、「一歩一歩を確かに踏みしめること」の大切さを私たちに教えてくれているように感じます。
近年では勉強や趣味など新しいことを始めようとするとき、「簡単にできる」「すぐに上達する」といった言葉に心惹かれる広告やCM・書籍などが目に入ることも多くなりました。忙しい日々のなかでは、できれば何でも早く身につけたいと考えてしまうのが私たちの常でございます。しかし、どれほど形だけを整えても、その中身が伴っていなければ、いざという時に土台は簡単に揺らいでしまいます。遠くに見える大きな目標も、決してひと足飛びに到達できるものではなく、むしろ地味に見える基礎の学びや日々の小さな努力を重ねることでこそ、ようやく確かな力が培われていくのです。
お大師様は「迷いの闇も悟りの光も、すべて自らの心の中にある」と説かれました。悟りとは特別な誰かだけが得られるものではなく、「求めよう」という決意があれば、誰もがその歩みを始めることができるというのです。しかし私たちは、年齢や環境、立場を理由に、新しい挑戦をためらうことがあります。経験を重ねるほどに慎重になり、心では挑戦したいと思いながらも、一歩を踏み出せずにいることは少なくありません。ただ、その迷いの中に留まり続けていては、心に生まれた霧はいつまでも晴れず、もやもやと足元ばかり見つめてしまう一年になってしまうかもしれません。もし「やってみたい」と思う意思や「やろう」と思う決意があるのならば、たとえ道が険しく見えても、まずは勇気を持って小さな一歩を踏み出してみることです。その一歩はどれほど小さくてもよいのです。大切なのは、歩みを止めずに重ねていく意志であり、その継続こそが、やがて大きな目標を実らせ、人生の道を大きく開いてくれるのです。
午が大地を踏みしめるように、私たちも確かな歩みを一歩ずつ積み重ねながら、この一年を精進して進んでまいりましょう。
(日下部 篤祥)
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