今月の法話

■「他人事(ひとごと)ではない」【2019年9月の法話】

 

 今年四月に東京池袋で起こった自動車暴走事故。自転車で横断歩道を渡っていた母子二人の尊い命が奪われ、多数の負傷者も出した、とても悲しい出来事です。様々なことが問題とされたこの事件、加害者の男性が高齢であったことから、高齢者を中心に運転免許を自主返納する人が増加し、また周囲からも運転免許の返納を勧める働きも起こりました。また、自動車など技術面でのサポートを後押しする動きもあります。しかし、交通事故は高齢者だけの問題では決してありません。

 この事故から間もない五月初旬、今度は滋賀県大津市で、散歩中の保育園児二人が亡くなり、保育士さんを含め多くの園児が重軽傷を負うという、悲しい事故が再び起きました。この事故で車を運転していたのは、双方とも買い物帰りの主婦の方。ほんのちょっとした不注意、(それが大きな過失になるのですが、)その不注意が招いた悲しい事故です。

 いずれの事故も幼い子どもが巻き込まれ、その尊い命が奪われたこと、大怪我を負い、それまでの日常の生活を奪われたこと、心身ともに大きな傷を負ったことは筆舌しがたいものがあります。

 その後も交通事故のニュースは後を絶ちません。交通事故の多くは、過信や不注意が招くものです。高齢者に限らず、運転免許を持つ人、ハンドルを握る人は、誰しも加害者になり得るのです。交通の便が悪い地域では特に、自動車が必要な方も多くいます。一概に運転免許を返納すれば良いという問題ではありません。大切なことは、年齢を問わず、運転者一人ひとりが安全を意識することに尽きるのです。「自分は危ない」と思っている人ほど気をつける、逆に「自分は大丈夫だ」と過信している人の方が危険な運転をする。

 大津の事故で重傷を負ったある女児の母親のコメントによると、事故後も現場近くでは、運転者として心がけるべき当たり前のことを意識していない人がたくさんいるとのこと。優良運転者だから大丈夫なのではない、免許を持つ者として違反をしないこと、優良な運転者であることは当たり前のことなのだと。

 私は自動車の運転が好きですが、自分の運転を過信していることは否めません。幼い子どもをはじめ、悲しい事故で犠牲になった方々のことを想う時、自身も幼い子をもつ親として、改めて常々安全運転を心掛けなければならないと思います。

合掌

(日高 誠道)

 

 

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