今月の法話

■「新年のご挨拶」【2024年1月の法話】

 

 新年あけましておめでとうございます。令和六年甲辰の新春を迎え、お慶び申し上げます。

 今年は甲(きのえ)の辰(たつ)年です。甲は十干の最初の要素で、木の性質を持っています。辰は「龍」を表し、十二支の干支でも唯一伝説の生き物です。「龍虎相打つ」という言葉がありますが、龍と虎は甲乙つけ難い強い存在として語り継がれてきました。どちらも強いことに変わりはありませんが、龍は架空の動物である故に霊的秘力を持つとされています。龍がお好きだという方も多いのではないでしょうか。

 もう少し龍に関して見てみますと、十二支の干支では「辰」という字を使います。辰の字の語源は「蜃」の原字であり、二枚の貝が開いてピラピラと弾力性のある肉がのぞいた様を描いた象形文字だそうです。そこから振るうや震えるといった同系の言葉が生まれております。

 仏教ではお釈迦様の誕生に伴い、龍王が甘露の雨を降らせたという伝説や海底の龍宮伝説、法華経には八大龍王が登場するなど、お釈迦様の説法を聞き大乗仏教の守護神的存在になられております。

 また、観音さまと関わりも強く、准低観音(竜王が頭を支えている)、龍頭観音(龍の頭に乗る)、千手観音などは龍が関係してきます。当山の観音堂にも欄間に龍が彫られておりますし、堂内左手の襖にも七十五世恵光大僧正が描かれた龍がおられますのでお参りの際にはご覧ください。

 更には、龍は首に「如意宝珠」をぶら下げております。如意宝珠とは真言密教ではとても大切にされる宝の珠です。神社さんなどでは擬宝珠と呼ばれておりますが、本来は如意宝珠が元です。「如意」とは意の如し、意のままになる宝の珠ということです。物事が意のままになるとてつもなく有難い珠をつけていらっしゃいますので、龍は龍神さまといって、神通力を持って、災いを除き、福をもたらす存在として信仰を集めてきたのだと思います。

 私たちはこの暦を活用して、毎年、どんな年になるのか、どのように過ごすのか計画を立て、実行致します。うまくいくとき、行かないとき波があると思います。不思議な万物の力により導かれるときやどうにもいかないとき、私たち人間一人ひとりの力なんでちっぽけなものです。昨年、一年間宗祖弘法大師空海生誕一二五〇年を記念し、様々な事業を行わさせて頂きました。お大師様のお力のお陰だなと思うときもあれば、もうちょっとしっかりやりなさいと修行を与えてくださっているのかなと思うときもありました。

 これらの波を乗り越えれるように己を磨き、日々精進していくことで、自分の心にある自宝が如意宝珠になっていくのだと思います。

 お大師さんの言葉に「自宝知らず、狂迷を覚と謂えり」という言葉がございます。自分のこころに宝を持っていることを知らないで、間違った考えや行動をしているのに、自分はこれが道理だと思っていることをさします。

 いつも謙虚なこころで、神仏を厚く信仰し、一年をまた、無事に過ごせるように今年もお参り頂ければと思います。今年も皆様と共に大聖院の各諸尊にお参りできますことを願っております。

合掌

(吉田 大裕)

 

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