今月の法話
■「辛抱(しんぼう)」【2023年11月の法話】
今年も十一月に入り、本格的に冬へと変わりゆく季節となりました。
今年は弘法大師空海様の御生誕一二五〇年の記念すべき年であり、私の大好きなディズニーが百周年でもあります。ウォルト・ディズニーといえば、あのディズニーランドを作った大企業家として有名ですが、またアニメーション映画の草分けでもあります。そしてアニメ映画の主人公で大活躍をしたのが、あの“ミッキーマウス”です。
世界中の子どもたちのアイドルとなったミッキーマウスが生まれるのは、決して簡単なものではありませんでした。彼はミッキーマウスを作り出す前に、「ウサギのオズワルド」というアニメの短篇を作りました。この陽気な黒うさぎが活躍する映画は、大当たりをしたのですが、このキャラクターの権利を他の会社に奪われてしまい、ディズニーはどん底生活に落ちてしまいました。彼はオズワルドに勝てる主人公を考え出すために必死に頑張りました。そうして、ついにミッキーマウスを考え出して、しかも映画に声と音楽をつけて売り出したのです。チッポケなネズミが勇敢に戦うけなげさと、トーキー映画の魅力が重なって、大成功を収めました。お大師様も仏教にとどまらず様々な功績を残されましたが、お大師様も苦の時期がありました。
「性薫(しょうくん)我を勧めて還源(げんげん)を思いとす。経路(けいろ)未だ知らず岐(ちまた)に臨んで幾たびか泣く。」この言葉はお大師様が若き日を振り返って呟いた言葉です。自身の進むべき道に迷い、悩み苦しみ、その岐路に立ち何度も泣いたと「性霊集」で述べられています。今この真言宗を確立したお大師様でさえ辛抱する時期があったのです。苦しい時こそ自分を保つこと、諦めず一つ一つ重ねていくことが成功につながると自分を信じ、弘法大師空海、ウォルト・ディズニーは実行されました。
私たちの人生には悩みや迷い、不安が、たくさんあります。これは逃げられないものです。悩みや迷い、不安に直面した時の生き方が大きな問題だと思います。苦難に対面した時あなたは、自分が仏さまの光の中に包まれていることに気づくことができますか?あなただけでなく、生命あるものが仏さまの願いの中で生きています。きっと救われるのです。苦しい時こそ、仏さまを信じてみてください。
(宮原 大空)