今月の法話

■「直(じき)心(しん)」【2022年4月の法話】

 

 四月に入り、生きとし生けるもの冬眠より目ざめ生きる活動を始め、外を見わたせば木花や草花も芽ばえ花を咲かせ華やいでいます。新しいスタートを向える私達の心も同じです。しかしまだまだコロナ禍の中や、震災被害や、ウクライナへのロシアによる武力侵攻により、尊い生が無差別に奪われ毎日のようにメディアで私たちの心に打ちつけられる状況の中、なかなか大手をふってスタートとはいかないともいえます。とくにここ数年はいろいろな境遇で春を向える方は大勢いる事となっています。しかし新しく学生や社会人となる多くの若人の方達には夢と希望と「直(じき)心(しん)」をもって進んでいただきたいものです。

 この「直(じき)心(しん)」とは、仏教の言葉で、「修行の中で何の疑いも持たず、まっすぐな心で修行に打ち込むことこそが仏道場である」という意味で、今で即すると、どんな学校、会社、環境、縁あって出合うどんな相手だろうが、自分自身は素直で、まっすぐな心を持っていれば、そこから学び、成長することはいくらでもできると説いています。逆にこの「直心(じきしん)」がなければ、どんなに恵まれた境遇、自分の望むベストな環境であっても成功も成長もうまくいくことはできない。ということはもし自分の境遇や環境に文句や嘆きを言いたくなった時は「今の私は直心を失っている」と思いだして下さい。

 もちろんみんな生きていれば、さまざまな出会い、辛い思い、苦しい思い、いたたまれない思いに追い込まれることもあるでしょう。でもその時こそ「そこから何が学べるか」「ここで自分はどう成長できるか」「何に気づくことができるか」とためされているのだと思います。本当に必要なのはどんな状況からでも学べる「直心(じきしん)」なのでしょう。

 私たちの今から始まるこれからの周囲には、私たちを鍛えて、成長させるものがたくさん溢れています。あらゆるものから学ぶことはできます。「直心(じきしん)」の心をもってこれからの自分の人間性と、本来もっている仏心を成長させて下さい。新しく春をスタートされる人も、毎年のようにまた春を向える人もいまいちど「直心(じき しん)」に向き合って見てはいかがでしょうか。

合掌

(三松 庸裕)

 

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