今月の法話
■「十二月といえば」【2021年12月の法話】
令和三年も終わりが近づいてきました。世間では、クリスマス、忘年会、お歳暮、大掃除等々の行事が多く慌ただしくやって参ります。
さて十二月八日は何の日かご存知でしょうか?この日はお釈迦様が悟りを開いた日と伝えられています。お釈迦様は二十九歳で出家され、六年間の苦行の末、ブッダガヤの菩提樹の下で悪魔の誘惑に負けずに坐禅修行を行い、三十五歳の十二月八日に明星をご覧になり、悟りを開かれました。悟りを開かれたお釈迦様が最初に説法をされたのは一緒に修行に励んでいた五人の修行者でした。お釈迦様は修行者達に悟りの内容を四つにまとめてお話しされました。それは、「苦諦・集諦・滅諦・道諦」の四つでした。
・苦諦(くたい):この世は苦であるという真理。
人はいずれ死んでいきます。人との出会いと別れ、望んだものを思い通りに入手することができず苦しみます。生きている限り、この苦しみから逃れることはできません。
・集諦(じつたい):その苦しみの原因を明らかにしたもの。
人は欲の心、怒りの心、恨みや妬みの心で苦しんでいます。苦しみの原因は己の迷いの心にあることを説かれました。
・滅諦(めつたい):苦しみを滅する真理。
煩悩や迷いを捨て去り、滅していけば、苦しみは滅して生き、まことの安らぎの境地へ至ることを説かれました。
・道諦(どうたい):悟りに至る道のりのことです。
苦しみの原因の原因を滅し、まことの安らぎの境地へ至る為の道のりについて説かれました。
苦しみや迷いというのは、私達の心の中に常にあります。それを抱え込んで生活をするも、解消して穏やかな生活をするも自分次第です。悩みや苦しみの解決法は、苦しみをなくすことではなく、それをきっかけに自分がどう成長し、自分らしい人生を歩めるかどうかです。これらを繰り返して積み重ねていくことで、夢の実現や努力が報われた未来があります。その中で、両親や家族、友人、仕事関係者との助け合いがあるからこそ、今の自分があるのではないでしょうか。
最後になりますが、本年も大変お世話になりました。良い年末年始をお迎えください。
(道正元裕)