今月の法話

■「祈らぬことは叶わない」【2020年3月の法話】

 

 春、暖かい季節、希望に満ちた季節となりました。この季節になると、テレビコマーシャルなどでも新生活といった言葉を耳にするように、新年度に向けての準備、新しい生活に向けての準備など、新鮮な気持ちで過ごされている方も多いことと思います。一方、これまでの生活と大きくは変わらない人にとっても、春といえば何らかの形で区切りとなる、新たなことへの挑戦の季節といえるのではないでしょうか。

 人は新たな環境に身をおいた時や新しいことに挑戦する時、もちろん不安も感じますが、それと同時に希望を胸に目標を掲げるものです。何かを成し遂げようと思います。ただ実際には、胸に抱いた希望通りに何かを成し遂げるということは容易ではありません。何かを成し遂げるためには、それにむけて不断の努力をすることが必要です。そして、その努力を続けるためには、当然ながら希望を叶えたいという強い意志を持ち続けなければなりません。ただ願うのではなく、強い意志を持って努力を続けるということは、それは即ち祈りの姿です。希望を叶えたいという想いがなければ、意志も行動も起こらないということです。

 三鬼大権現さまに御祈祷に来られる方も、多くの想いを持ってお参りされていることと思います。例えば、希望の学校に進学したいという合格祈願の場合、その目標に向けて強い意思で懸命に勉学に励みます。それは即ち祈りの姿です。病気を治したいという方の場合、そのために強い意志を持ち生活に気を配り、気を整え治療に専念します。それは即ち祈りの姿です。厄除け祈願の場合、災厄を逃れるために謙虚な姿勢での生活を心掛けます。それは即ち祈りの姿です。何事においても祈らないこと、心に念じないことは叶わないのです。祈るからこそ、念じるからこそ願いは叶うのです。流れに身を任せるのではなく、自身がどうありたいか、常に祈り念じていれば、自身の在り様も変えていけるのではないでしょうか。

 『観音経』(『妙法蓮華経 観世音菩薩普門品』)の偈文に「念念(ねんねん)勿生疑(もっしょうぎ)(念念して、疑いを生ずること勿れ)」という言葉があります。疑うことなく、一心に念ずること、祈ることが大切です。春、暖かな季節、希望に満ちた季節、新たな環境に身をおいた時、新しいことに挑戦する時、一心に祈ってみてくだい。きっと物事は良い方向に進むはずです。

合掌

(日高 誠道)

 

●2020年の法話(バックナンバー)


●2019年の法話(バックナンバー)