今月の法話
■「良いこと、悪いこと」【2020年2月の法話】
人生山あり、谷ありとよく言われるように、生きてると、良い事もあれば、当然悪いこともありますね。その中でもっとも大事なことは一喜一憂せずに、穏やかな心持でいること、なかなかむずかしい事です。
仏教の教えの中に「万物はつねに変化していく」という思想があります。私たちを取り巻く環境は、例外なく必ず変化していきます。一滴の雫石から水となり川となり流れていくように、雲が空を移動していくように、必ず状況は変っていきます。良い事も悪い事も決して長続きはしないという事です。五百羅漢の一人の摩(ま)拏(ぬ)羅(ら)尊者の言葉に「心は万境に随って転ず。転ずる所実によく幽なり。流れに随って性を認得すれば、喜びもなくまた憂いもなし」とあります。人の心というのは周りの状況によってつねに惑わさせるものでその移ろいくように、心穏やかに寄り添っていれば、智慧が沸き、有頂天になったり、憂いたりすることもなくなると言っています。
もし、今人生の好機の追い風を迎えていると感じていると感じていても決して有頂天にならずその時は「いつか終る」と冷静にならなければなりません。と言っても変に落胆するのではなくその風の流れに、身を任せればよいと思います。反対に自分は逆境に立たされている、辛い思いをしていると感じていてもまた、この時は一生は続かないという事です。常に私たちは何かに試されていると思う事です。生きていれば良い事や悪い事は、この先、山ほどあります。人は逆境に陥ると、蓋をして逃げ出したくなる物ですが、何も解決しないと知り、これは自分を成長させる為に試されると考えれば、必ず何かしらの考え(智慧)が浮び状況は変化していきます。みなさんも、「良い事、悪い事」「人生山あり谷あり」を試されて見て下さい。
合掌
(三松 庸裕)