今月の法話
■「道心に帰る」【2019年2月の法話】
「道」とは、人や車、動物達が歩き、走るところである事はみなさん知っている事と思います。またこれらが通ればそこに道はできます。
しかし、道には目に見えない道もあります。これは人生の道であり、人が正しく生きるための道もあります。
道とは「とおる」「おさめる」「正しい」「みちびく」「おしえる」「助ける」「精進する」など多くの意味を持っています。
昨今の世情をみると、大人は汚職や不正、殺人やパワハラ、青少年は無規範に薬物の乱用や、傷害事件をおこし、道から外れた危険なところを通っていると思います。また、何が善か、何が悪かの価値判断が判らないくらい多様化もしてきています。
この価値判断をする心の問題ですが、平安時代、お大師様は、庶民の子供たちに学問を教えるための日本で最初の「綜芸種智院」という学校を開くとき、次のような言葉を言っています。
「物の興廃は必ず人による、人の昇沈は定めて道にあり」
これは物が興隆していくか、衰えていくかは、必ず人々が力を合わせて志を同にするか、しないかにかかっている。また人々の善い心によって昇るか悪い心によって沈むか、道を学ぶか学ばないかによる。すなわち道を学ぶことによって善悪の判断がわかると言っています。
又、道とは正しい事、ルールを守るという道理、善悪を判断して正善につく心を道心といいます。
いま一度私たちは原点にかえって、ことを起すとき、毎日のくらしの中で、自分で考える心「道心」を実行することによって、自分が歩む道は誇れる道となるでしょう。
合掌
(三松 庸裕)