今月の法話

■「原石」【2024年12月の法話】

 

 ついこの間、年頭挨拶を申上げたと思いましたのに、はや本年も十一ヶ月を経て、今月は一年を回顧する師走になりました。全く光陰矢の如く、歳月人を待たずのたとえ通り、月日が経つのは早いものです。この十二月の宗教行事といいますと、キリスト教のクリスマスや大晦日の除夜の鐘があります。さて十二月八日は何の日かご存知でしょうか?この日はお釈迦様が悟りを開いた日と伝えられています。お釈迦様の教えの中に、“一切衆生悉有仏性” “一木一草悉有仏性”という言葉があります。この言葉は、どんな人間も心に仏性を持っていて、それに気づくか気づかないかということであります。仏性とは、きれいな宝石、仏さまの心です。一見、宝石という言葉を聞くと希少で綺麗なイメージを連想しがちですが、それは探索や掘削、研磨など多くの技術者による地道な活動によって、はじめて美しい光を放ちます。本来、我々は仏さまという原石を心に持っていますが、毎日の生活の中で、いつも邪まな心で生活してしまうと、そんな環境の中に居ると、私利私欲などの煩悩に覆われて、それを容易に見つける(掘り出す術)ことができずにいます。しかし、いつもきれいに掃除され、いい考え方の人達と一緒に生活すると、案外、自分の心にも、きれいな宝石がある事に気づき見つけることが出来ます。何で早くこんな心にならなかったのだろうかと思う事さえあり、それは例え死刑を宣告されたほどの極悪人であろうとそんな心を持っているはずです。年末には大掃除もする事と思います、ホッと一息、心の掃除もしてみてください。きっと私の中にいらっしゃる仏さまに気づけると思います。

 結びに、年改まると共に一層のご倍仰に精進下さり、仏さまの威光を倍増し、もって皆様の幸福を築いて下さいますことを祈りながら一年回顧とします。良いお年をお迎えください。

合掌

(宮原大空)

 

●2024年の法話(バックナンバー)


●2023年の法話(バックナンバー)